2025年春以降、札幌市内では「りんご病(伝染性紅斑)」の患者数が増加し、5月下旬には統計開始以来最多の数値を記録するなど、警報レベルを超える流行が続いています。
りんご病は、子どもを中心に流行するウイルス性の感染症で、特に小さなお子さんがいるご家庭や、妊婦さんがいらっしゃるご家庭では注意が必要です。今回は、りんご病の特徴や感染経路、注意すべきポイントについて詳しくご紹介いたします。
りんご病(伝染性紅斑)について
◎ どんな病気?
りんご病は、「ヒトパルボウイルスB19」によって引き起こされる感染症です。子どもがかかることが多く、両ほっぺたが赤くなるのが特徴で、その様子がりんごのように見えることから「りんご病」と呼ばれています。正式名称は「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」です。
◎ 潜伏期間は?
感染から発症までは10~20日程度で、潜伏期間中は症状が出ず、気づかないことが多いです。
◎ 主な症状は?
- 微熱、咳、鼻水など、風邪に似た症状で始まることがあります。
- その後、両頬に蝶の羽のような赤みが出て、腕や脚にはレース状の発しんが現れることがあります。
- 発しんは約1週間で自然に消えますが、日光や運動などで一時的に再び出ることもあります。
◎ 感染経路は?
主に、感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染が中心です。ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることで感染する接触感染もあります。
◎ 治療法は?
特効薬はなく、多くの場合は自然に回復します。発熱やかゆみ、関節痛がある場合は対症療法を行います。体調が良ければ通常の生活で差し支えありませんが、感染予防のためには手洗いや咳エチケットを心がけましょう。
妊婦さんは特にご注意を
◎ なぜ注意が必要?
りんご病は多くの人にとっては軽症で済みますが、妊娠中(特に妊娠初期~中期)に感染すると、まれに胎児に影響を及ぼすことがあります。
◎ どんなリスクがある?
- 胎児貧血:ウイルスが赤ちゃんの赤血球の産生を妨げることで、重度の貧血や胎児水腫を引き起こすことがあります。
- 流産・死産:感染した妊婦さんのうち1〜3%程度で、こうした深刻な影響が報告されています。
◎ 感染が疑われるときは?
- 周囲で流行している場合や、感染者と接触した可能性がある場合は、かかりつけの産婦人科にご相談ください。
- 血液検査で、過去の感染歴(抗体の有無)や現在の感染の有無が確認できます。
◎ 妊婦さんの予防法
- 手洗い・うがいをこまめに行う
- 咳・くしゃみをしている人には近づかない
- 小さなお子さんが集まる施設への不要な訪問を控える
- 家族内で発しんのある子どもがいる場合は特に注意する
最後に
りんご病は、ほとんどの場合軽症で自然に治る病気です。しかし、妊婦さんや免疫力が低下している方にとっては注意が必要です。大切なのは、過度に恐れず、正しい知識を持って冷静に対応すること。不安なことがあれば、必ず医師にご相談ください。現在は、赤ちゃんの状態をしっかりと管理できる医療体制も整っています。
なお、最新の感染症情報は札幌市の公式ウェブサイトでも随時確認いただけます。ご家庭でも日常的な感染予防を心がけ、安心して過ごせるよう備えていきましょう。